日を追うごとにほくろが大きくなっていく、といえば深刻な病を疑うこともある。その女性は三日三晩悩みつづけ、意を決して病院に向かったという。北海道に住む、わたしの母親である(@1102みっちー)。
そのほくろ、こんな感じだったらしい。
(イメージ想像図)
悪性かもしれない。最悪の事態を覚悟し、暗い表情のまま医師に事情を説明。巨大化したほくろを見せた。すると医師はほくろを凝視。無言のまま天を仰いだという。
黒いほくろの正体は、ダニ。取り除いたあとがこちら。(グロ注意)
生々しすぎる。
種類は定かではないがおそらくマダニ。人間の血を吸って100倍以上に膨らむこともある。いつダニに寄生されたのか。医師には山菜採りに行ったか聞かれたという。行ってはいない。でも山菜はもらった。天ぷらに最高〜、たらの芽。
(画像:LINEより)
そう、山菜(たらの芽)か山菜をくれた人のどこかに、ダニが潜んでいて寄生した可能性が高いらしい。つまり・・・
咬まれた場所は自宅だった
自宅ではほとんど咬まれる心配ない、とほとんどのテレビや新聞で報じているが自宅でも潜んでいる可能性はあるということ。
もらいダニ、怖すぎる・・・。
しかし、もっとコワイのは吸血による病気への感染だということをご存知だろうか。
感染に注意!
北海道の道立衛生研究所のサイトにあった「ライム病、草むらにはご用心」というコラムにはこんなことが書かれている。
北海道では、自然の多い郊外の草むらに、マダニが確実にいると考えてよいでしょう。膝下くらいの高さの草むらを歩けば人間にもしっかり取り付きます。
マダニは、実にうまい歩き方をするので、直接皮膚の表面を這われても、気付く人は少ないはずです。また、刺咬の時も痛みがほとんどどないので、知らずに血を吸われていることがあります。
ほくろが大きくなっていくように感じただけで咬まれている自覚はなかった。
気づいたときの対処法
では、咬まれていることに気づいたときはどうすればいいのか。
普通の人は、自分の皮膚の表面をマダニが這っていたら、びっくりして潰そうとするかも知れません。しかし、マダニはとても硬く、皮膚の上でいくら押し潰そうとしてもびくともしません。しかも、マダニの体内には病気を起こす細菌が潜んでいます。万一あなたが大変な力持ちで、マダニを押し潰してしまったらとても危険です。血を吸っている時はさらに危険で、マダニを取ろうとして指で強く押さえると、ダニ体内の病原体を注射してしまうことにもなりかねません。
潰すこと=病原体を注射するようなもの。
気づいたらただちに皮膚科などの病院で取り除いてもらおう。
媒介する病気
マダニを媒介した病気は1種類だけではない。
ダニが関係する病気は数多くあります。わが国では、古くからツツガムシ病(恙虫病)という病気があります。ツツガムシ病は、古代、重い病気の代表であったらしく、重病もせず健康であることを「恙無(つつがな)し」と表現するのは、聖徳太子の時代から今でも手紙文で使われている慣用句です。
(中略)
ツツガムシ病とは反対に、つい最近発見された病気もあります。それが今回のテーマであるライム病です。病気として認識されたのは1975年ですから、聞いたことのない人も多いでしょうが、「感染症新法」では診断確定後に届出が必要とされている病気です。アメリカ合衆国コネチカット州のライム地方で発見されたため、この名が付きました。マダニの体内に潜む、ボレリアというひょろ長い細菌が人間や動物の体の中に侵入して発症する病気です。
(中略)
マダニは吸血するだけでなく、様々な病気を人や動物に感染させます。人にとって最も脅威なのがSFTS(重症熱性血小板減少症候群)です。2013年の冬にあった殺人ダニ騒動の原因はマダニによるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)です。(詳しくは山口から始まった殺人ダニ騒動をお読みください)新しい感染症のため特効薬はなく、致死率は10%ともいわれています。
またSFTS以外にもライム病や日本紅斑熱といった病気も運んできます。日本紅斑熱では年間患者が150人ほどで、1~2%の死亡率です。早期に適切な治療を受ければ死ぬことはないのですが、症例も少ないため治療が遅れて重症化することがあります。
(出典:道立衛生研究所)
(出典:道立衛生研究所)
愛犬も注意!
野原を走り回る愛犬も要注意です。
犬を飼っている人には経験があると思いますが、犬を郊外に連れて行って自由にすると、犬は喜んでヤブの中を走り抜け、飼い主の元へまっしぐらに駆け寄って来ます。ここで犬の毛をよく見ると、体長2、3ミリの妙な生き物がくっついているはずです。これがマダニです。
犬にもダニがくっつきやすいとのこと。駆除できるフロントラインがオススメ。
3行まとめ
・病気に感染する危険も
・病院で取り除いてもらおう
いかがだったろう。まさか身近にダニに吸血されている人がいるとは露ほども思ってもみなかった。吸血によって病気に感染することもあるので、皮膚に気になることがあったら病院で診察してもらおう。
そのホクロ、吸血ダニかも!?
追記:マダニに猫を媒介してヒトが感染
2017年7月、マダニ感染症にヒトが猫を介して感染。死亡する事故があった。
厚生労働省は24日、西日本の50代の女性が昨年夏、野良ネコにかまれた後、マダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」を発症し、死亡していたと発表した。動物によってSFTSが人に感染したとみられる事例が判明したのは初めて。同省は都道府県や獣医師らに体調不良のペットなどに接触する際は感染に注意するよう通知を出した。
厚労省によると、女性は、衰弱した野良ネコを動物病院に連れて行った際に手をかまれ、約10日後に死亡した。女性にマダニにかまれた形跡はなかったが、SFTSの症状に似ていたため国立感染症研究所で分析したところ、感染が確認された。ネコにもSFTSの症状があったといい、ネコがマダニにかまれて発症し女性にうつしたとみられる。
これまで動物がSFTSウイルスに感染してもほとんど発症しないため、人にうつすことはないと考えられてきた。しかし、今年に入りペットのネコやイヌで発症した事例を確認。飼い主は感染していなかったが、同省はペットにダニの駆除剤を使うよう注意喚起が必要と判断した。媒介するマダニは屋外にしかいないため、屋内でのみ飼育しているペットは感染しない。
(出典:毎日新聞)
自宅にいても「もらいダニ」で咬まれた今回のケースもあるのだから、どこにいてもマダニに咬まれる危険性はある。
あれ?ほくろが大きくなってる?と思ったらすぐに病院で診てもらおう。気づかないこともあるのでお風呂に入ったときには鏡を見て後ろに黒いほくろはないか目でチェックしておくだけでも早期発見につながる。
(日々つむ編集部)