漫画作家の谷口ジローさんが旅立たれました。読み切り「犬を飼う」は名作です。一般的には「孤独のグルメ」で知っている方も多いとおもいます。わたし(1102tv)はほぼすべての漫画を読ませていただき、漫画は文学でもあると教えてくれた作家でした。もっと読みたかったです。でも作品として残りこれからも語り継がれていくことでしょう。
哀悼の意味を込めて大人の鑑賞にも耐えうるおすすめの漫画をまとめました。
人間、動物に限らず、「生」とは愛しく、厳しく、慎しみ深いものだと教えられました。
テレビドラマ化された人気漫画「孤独のグルメ」などの作画で知られる、漫画家の谷口ジロー(本名治郎=じろう)さんが11日、病気のため死去した。69歳だった。
1991年「犬を飼う」で小学館マンガ賞審査員特別賞を受賞するなど、フランス語圏を中心に芸術系賞を数々受賞し、欧州を中心に海外でも高く評価されていた。
(出典:スポーツ報知)
まだ60代だったんですね。
谷口ジローとは
wiki情報を箇条書きで引用します。
・鳥取県鳥取市出身
・鳥取商業高校卒業
・1966年に画家を目指して上京
・1971年に『嗄れた部屋』(『週刊ヤングコミック』)でデビュー
・関川夏央ら漫画原作者と組み、青年向け漫画においてハードボイルドや動物もの、冒険、格闘、文芸、SFと多彩な分野の作品を手がける。
・絵はジャン・ジロー(メビウス)やフランソワ・シュイッテンなどのバンド・デシネの作家に強い影響を受けており、インタビューでは「日本で一番影響を受けているんじゃないか」と語っている(ティム・リーマン『マンガマスター』美術出版社、2005年)。
・1991年の『犬を飼う』では中流家庭の日常を題材にして新境地を開き、これ以降は人と動物、人と人とのつながりをテーマにした日常的なドラマも多く手がけるようになった。
・『歩くひと』や『遥かな町へ』などの翻訳版刊行を期に2000年代からヨーロッパでの評価が高まり、フランス語圏を中心に数々の芸術系統の賞を受賞。カルティエの2007 - 2008年の広告を複数の画家とともに担当し、本国フランスのブティックではカルティエに関する漫画の入った小冊子が配布されている。
・2010年には『遙かな町へ』を原作に、舞台をリヨン近郊としたフランス映画「fr:Quartier Lointain」が制作・公開され、日本では2013年2月に小学館集英社プロダクション・メディアファクトリーからビデオスルーでDVDソフトが発売した。
谷口氏は日本よりも海外で高い評価を受けています。
谷口氏は1970年代にデビュー、ハードボイルド、動物もの、SF、格闘、文芸など幅広く活動しており、国内でもよく知られた漫画家だ。特に『孤独のグルメ』は近年ドラマ化されてもいるため、普段漫画を読まない人にもおなじみになっているのではないだろうか。また漫画に関する数々の受賞も、氏に対する我が国での評価を物語っている。
ルイ・ヴィトンが自社ショップで限定販売するトラベルブックコレクションでは、ベネチアの様子を描いた1冊を書き上げた。
しかし実は、我々日本人はまだまだ、谷口ジロー氏の“すごさ”を見誤っているのかもしれない。氏の受賞歴を見ると、「アングレーム国際漫画祭」「ルッカ・コミックス&ゲームス」などと、ヨーロッパで何度も受賞している。そして2011年には「フランス政府芸術文化勲章(シュヴァリエ)」を受賞している。
フランス政府芸術文化勲章とは、芸術や文化の創造・普及面においてフランスや世界に貢献した人に与えられるもの。日本人の受賞も少なくなく、音楽家、画家、俳優などが名を連ね、漫画家では谷口氏をはじめ、松本零士氏、大友克洋氏が受勲している。
また驚くことに、谷口氏の漫画はフランスを代表するブランドであるカルティエやルイ・ヴィトンといった高級ブランドの宣伝媒体としても使われている。フランスでは漫画もアートの1ジャンルであり、谷口氏も、詩情あふれるストーリーを描き出すアーティストとして評価されているのだ。
・「孤独のグルメ」の作者は、"怪物"だった!日本人が知らない、谷口ジローの真価(東洋経済オンライン)
フランスをはじめ海外で評価されるきっかけになったのが次の2作品です。
歩くひと
犬、少年と少女、海辺の街、男と女、過去と現在――まるで小津作品のような味わいを堪能する1冊。名作「犬を飼う」の原点にあたる「歩くひと」をはじめ、海外向けコミックなど、多くの単行本未収録作品を含む谷口ジロー珠玉の作品集。
「犬を飼う」が気に入ったら手にとってほしい一冊。犬がテーマではないけれど日常のなかで家族として出てきます。
遥かな町へ
これはkindle版。
△単行本。
フランスでは映画化されました。
△品切れのようです。
「孤独のグルメ」をはじめ原作を漫画化することの多い谷口氏ですが、オリジナル作品です。最近流行りのタイムスリップものといってしまえば、若者向けと考えてしまいがちですが大人向けの作品である読後感はまごう事なき「文学」です。
△ついにヨーロッパが谷口ジローを発見した、と書いてあります。主人公は34年前の中学生の姿になって故郷へ。心は48歳のまま過ごす故郷の日々を描いています。
その何年も前に読んだ作品でしたがわたしもいま48歳。主人公と同じ年齢になってしまいました。読み返してみると、鼻のずっと奥から懐かしい故郷の匂いがしてきます。
犬を飼う
△文庫版。
△他の作品も収録。文庫版よりも大きなサイズのほうが谷口作品はいいです。持ち歩くのではなく家でじっくり読んでほしいですね
この作品は、子供のいない中年夫婦が犬を飼い、老犬となってから旅立つまでの1年間の日々を描いています。谷口ジロー自身の実体験が元になっていてリアルな描写が胸を打ちます。ペットは家族であることを改めて教えてくれる作品。看取るまでが犬を飼うということ。その現実を改めて突きつけられる思いがします。愛犬家として想像もしたくありませんがさいごまで家族であり続けるために心の準備はしておくべきですね。
神々の山嶺
夢枕獏さん原作の作品を漫画化。
柳生秘帖
△2年前、2015年の作品です。
センセイの鞄
ヴェネツィア
千年の翼、百年の夢
孤独のグルメ
ドラマ化され広く知られるようになった、孤独のグルメ。漫画は2巻まで。
アマゾンで購入できる谷口ジロー作品はこちら。
まとめ
改めて読み返してますがkindleではなく現物を購入するなら文庫版よりも単行本が断然おすすめしたいと思いました。文庫版だと細部の絵が楽しめないんですよね。ストーリー優先になってしまいます。まだ谷口作品を読んだことがない方はまず「神々の山嶺」「犬を飼う」「孤独のグルメ」「遥かな町へ」「センセイの鞄」あたりから手にとってみてはいかがでしょう。
つつしんでお悔やみ申し上げます。
(日々つむ編集部)