紫外線を浴びると体のなかでビタミンDが作られます。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進して骨を丈夫にし、筋力を高めてくれる体には必要不可欠なビタミン。
しかし、シミやシワを作るデメリットとしての紫外線のイメージが広まったことで、ビタミンDの欠乏状態に陥る骨ボロボロ予備軍の女子が増えているというんです。
紫外線をブロックしたいのにどうすればいいの?解決策をまとめました。
ビタミンDが不足する原因
エービーシーデーのデー、Dです。こんな研究結果が報告されました。
20代の女性が週3回以上日焼け止めを使った場合、血中のビタミンD濃度が常に「欠乏状態」になっていたことが、大阪樟蔭女子大などの研究チームの調査でわかった。ビタミンDは日光に含まれる紫外線を浴びることで体内で作られ、骨の形成に関わる栄養素。不足すると、骨粗しょう症などになりやすくなる。同大では「直ちに病気になるわけではないが、ビタミンDを含む食品で補ってほしい」としている。
(出典:毎日新聞「日焼け止めで欠乏も 大阪の大学、20代女性に調査」)
調査対象となった20代女子が日焼け止めを使うことでビタミンDが欠乏。骨粗鬆症など骨の病気になりやすいリスクを抱えている状態だというんです。
ビタミンD欠乏の対策は?
研究報告では、日に浴びるのではなくビタミンDを多く含むサケなどの食品で補うようアドバイスしています。
鮭、シャケのことですね。
サケを含めてビタミンDを多く含む食品がこちら。骨粗鬆症財団の情報です。
△画像:骨粗鬆症財団スクリーンショット
ぱっと見、お魚系が多いですね。
グラム数がバラバラなので計算し直してみました。
ビタミンDを食べ物で摂取する1日の目安量は5.5μg(マイクログラム)。
ビタミンDが多い食品(10gあたり)
・しらす干し(10g、6.1μg)→6.1μg
・イワシ丸干し(30g、15μg)→5μg
・サケ(80g、25.6μg)→3.2μg
・サンマ(100g、14.9μg)→1.49μg
・干ししいたけ(6g、0.8μg)→1.3μg
・カレイ(100g、13μg)→1.3μg
・ブリ(80g、6.4μg)→0.8μg
10gあたりのビタミンDの含有量はキクラゲがいちばん多い計算になりました。
でも量は食べられませんから、魚やキノコ類を食べておけば間違いないということになります。
そもそも、いわし1匹程度でも1日の目安量を摂取できるのに、ビタミンDが欠乏しているということは食生活に問題を抱えているような気もしてきます。
ビタミンDはビタミンD2からビタミンD7まで6種類。
そのうち、体に効果を期待できるのはビタミンD2とビタミンD3の2種類。
・ビタミンD3〜魚類に豊富
骨粗しょう症になった旅館の女将
少しでも紫外線を浴びたほうがいいと思わせる記事がありました。
仕事は毎朝5時に始まり、夜9時過ぎまで接客、掃除、配膳、スタッフ指導などで旅館内を歩き回る──。
ある老舗旅館の77歳の女将の万歩計の数値は、毎日1万歩を大きく超えていた。同年代と比べて、明らかに“健康的”な生活のはずだった。ところが、ある日職場で転んだ拍子に足を骨折してしまう。病院では、骨粗鬆症と診断された。
(出典:NEWSポストセブン)
17年にわたり群馬県中之条町の住民を調査。その結果、毎日1万歩を超えていた旅館の女将が骨粗しょう症になっていたことが判明。1日1万歩でも健康になるわけではないという結論に驚きの声があがったんです。
ただ歩くだけではダメでちょっと息が切れる程度の強度が大事だったんです。さらに、最後のくだりに注目。
「女将は和服で一日を過ごし、宿泊客にうるさく思われないようにいつもすり足で、小股で音を立てないように歩いていました。歩数は多いけど、息があがったりは絶対にしない運動の強度だった。そうすると、どれだけ歩いても健康にはなれません。彼女の場合は、常に館内にいて日光に当たらなかったことも骨を弱くした原因の一つです」
「常に館内にいて日光に当たらなかったことも骨を弱くした原因の一つ」
これって、まさに紫外線とビタミンDの話ですよね。女将ですから食事のバランスはよかったはず。食事でビタミンDを取ることも大事ですが、ある程度の紫外線を浴びることのほうが大事に思えてきます。
そういえば、健康のため5分でもいいから太陽を浴びたほうがいいと聞いたことがありました。
日焼けしない絶妙の「紫外線浴」時間とは?
いやいや1秒たりとも紫外線を浴びたくない!日光浴なんて卒業!なーんて気持ちもわからないではありません、
少しは浴びたほうがいい・・・といわれて単純に外に出てテキトーに歩いて太陽の光を浴びるなんて不安しかないですよね。
安心してください。便利なサイト、あります!
そのサイトを見れば・・・
ほぼリアルタイムで、紫外線の影響が有害になる一歩手前でどれくらい浴びればいいかが分かるんです。
すごくないですか?正直ホントかよと思ったんですが、それを実現させたのこちらのデータ図です。
△これは記事を書いている時点の横浜における紫外線量とビタミンD生成量の数値です。ほぼリアルタイムで表示されます。
一見、小難しいかもしれません。
左は紫外線量の単位。こっちはよくわからないので無視して大丈夫。見るのは、右の単位600㎠と1200㎠。紫外線を受ける肌面積の違いです。
これ、めっちゃ具体的なんです。
紫外線を浴びる肌面積・600㎠〜顔と両手の甲
・1200㎠〜顔と両手の甲に加えて、両腕を同時、または膝から下の部分
600㎠は日よけの完全防備に近く、1200のイメージは短パン半袖やワンピースでしょうか。
つまり11時、短パン半袖で歩いているとするなら10分間40μg(マイクログラム)のビタミンDを体内で生成することになります。シャケ1切れ半食べたのと一緒。
成人が必要とするビタミンD一日15µg。そのうち5.5µgは食物から摂取することを推奨(骨粗鬆症財団)しているので、だいたい10µgを紫外線から体内に取り込めばいいことになります。
ということは・・・
2017年7月14日午前11時の横浜で、1日のビタミンDを生成するために浴びる紫外線タイムは2分30秒でOKなんです。実はこのデータ図、見なくても大丈夫。
別のデータ図はもっとストレートに教えてくれます。
1日10μgまでの紫外線浴(日光浴)や有害にならない紫外線のタイムリミットが一目瞭然のデータ図でわかります。
先ほどより時間が進んでしまいましたが午後4時前頃の横浜です。
赤は紫外線の影響を受けない時間。皮膚が赤くなって紅斑が生じる時間です。赤くならないことを便宜上「無害」と表現しているそうです。
青は600 cm2 で10 µg のビタミンDを生成するのに必要な時間。
そして、緑が1200 cm2 で10 µg のビタミンDを生成するのに必要な時間です。実はこのデータ図も見なくて大丈夫。
30分ごとのデータで、時間がはっきりと明示されているんです。
午後3時30分頃、肌面積600㎠(顔と両手の甲)の人は19分、肌面積1200㎠(顔と両手の甲に加えて、両腕を同時、または膝から下の部分)の人は10分間、紫外線を浴びれば1日に必要なビタミンD、10µgを体が作ってくれることになります。肌が紫外線のダメージを受けるまで53分もありますから余裕ですよね。
でも、同じ時間の波照間島だとこんな感じになります。
△横浜より波照間島のほうが紫外線が強く、肌が紫外線のダメージを受けるまで30分しかありません。油断してるとサンバーン(日焼け)が始まってしまいます。
観測地点
残念ながらこのデータを取っている観測地点は全国11カ所しかありません。
北から、落石岬、陸別、札幌(以上北海道)、つくば、横浜、名古屋、大津、宮崎、辺戸岬(沖縄)、波照間島が観測地点。
住んでいる場所の近くを探して毎日チェックすると無駄のない「紫外線浴」で効率よくビタミンDを体内で生成することができるようになります。
おそらく観測地点の直リンクは推奨していないのでトップのアドレスをリンクします。ブックマークしておくと便利です。
スマホ対応は?
残念ながらスマホ対応ではありません。開いたら「ビタミンD生成・紅斑紫外線照射時間 (速報値)」をクリック。近くにある観測地点を調べれば、ほぼリアルタイムの紫外線浴タイムを教えてくれます。 これは地球環境センター内にあるサイトです。
地球環境センターの人にどこかで会う機会があったら、ありがとう!といってあげたいくらい、本当に有益な情報です。地味なサイトですが。
ホントのトップページはこちら。
まとめ
いかがでしたか。ビタミンDは将来の健康を考えれば絶対に欠乏させたくないビタミンであることがわかっていただけたと思います。
食品として摂取するか、日焼けやシミにならない時間で日の光を浴びるか、どちらでもかまいませんので意識してビタミンDを作るようにしてください。
ちなみに、7月は・・・
紫外線のピーク。なかでも、お昼頃がピークオブザピークになります。この季節はビタミンDの欠乏は考えなくてもいいかもしれません。
晴れているときはもちろん、曇りや雨のときも紫外線は降り注いでいるので、とくにUV-Aは雲や窓をも通して肌にダメージを与えるので日焼け対策に注力してくださいね。
(日々つむ編集部)