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【健康本レビュー】酒は毎日呑んでよし、メタボはお節介…五木寛之さんと名医・帯津良一さんの健康問答に学ぶ

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鍼灸師の先生にすすめられた本「健康問答」がこれまでの常識にとらわれず、おもしろいので紹介します。

【帯津良一氏プロフィール】

1936年、埼玉県生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学部第三外科、共立蒲原総合病院外科、都立駒込病院外科医長などを経て、1982年、埼玉県川越市に帯津三敬病院を開設し院長となる。西洋医学に中国医学や代替療法を取り入れ、ホリスティック医学の確立を目指す。医療の東西融合という新機軸を基に、がん患者などの治療に当たっている。

出典:健康問答「著者プロフィール」より

「はじめに」の冒頭で、いきなりハートを鷲掴みにされました。

健康法は『これ一つ』ではダメ

玄米を食べていれば、背骨を伸ばせば、「ありがとう」の言葉を忘れなければ・・・

など何か一つ大事にすれば何事も解決するという考え方が「怪しい」というのです。痩せれば健康になるわけでなく、バランスのよい食事をとって病に倒れる人はいるし、3時間しか眠らなくても元気な老人もいる。その上で五木さんはこういいます。

世の中のことは、ほんとうはなに一つ、確実にわかってはいないのだ。

現代の医学、栄養学、生理学、心理学など、すべての学問や理論はまだ小学生の域に達していないのではないか。牛乳はカラダにいいか、わるいか。よい牛乳もあれば、悪い牛乳もある。体質的にあう人あわない人もいる。その上で結論をいいきっている。

世の中のこと、「これ一つ」ではダメなのだ、と覚悟するしかない、というのがわたしのようやくたどり着いた結論である。

五木さんが帯津先生にぶつけた疑問は50項目。
水はたくさん飲まなければいけないのか?にはじまり、毎日酒を呑むのはほんとうにいけないか、塩分はとらないほうがいいか、ウォーキングは健康か、肉はほんとうに体に悪いか、1日三十品目食べなければいけないか、コーヒーはカラダにいいか、緑茶はがんを予防するか、風邪をひいたら熱を下げなければいけないか、ガンの早期発見は幸運か、病院に行けば病気は治るのか、サプリメントは本当に有効か、笑いは本当に元気の源か、人間の寿命は何歳がちょうどいいか、長生きはほんとうに幸せか・・・など、どれも気になるものばかり。本の内容を一部引用しながら、自分なりにすすむべき道を考えてみたいとおもいます。

五木寛之×健康問答

その1水はたくさん飲まなければいけないのか?

水をたくさん飲め、は今や常識になっています。脳や心臓系の病気や熱中症の予防、はたまたダイエットのためにも1日2リットルは飲むべし、と。飲んでいる人も多いのでは?わたしも、きっちり2リットルとはいわないまでも飲まないとドロドロ血になってやばいという強迫観念にとらわれています。
一方で水を飲みすぎるとよくないという話も。いったいどちらが正しいのでしょうか。

帯津 水を飲めば飲むほどいいということは、ないと思いますよ。たしかに血液の量は増える死、循環もよくなるということはあります。(中略)あんまりオーバーに飲むというのはどうでしょうね。
五木 要するにのどが乾いたら飲む。

さらに、水の大量に飲むコンテストで女性が亡くなった事故を受けて、水を無理やり飲めば、(中略)心臓と肺に負担がかかると指摘。むくみがどこからに現れれば、飲みすぎです。

【医者の結論】

やみくもに水を飲めばいいというものではない。体の欲求に応じて、喉が乾いたら飲む程度でいい。ただし、脳血栓の要因がある人は少し多めに水をとる。

出典:健康問答

無理して水分をとってませんか。ダイエットや美容に効果があるといっても、飲みすぎれば心臓や腎臓に負担をかけるかもしれないんです。

その2冷たいビールは、ほんとうに体に悪いか

冷たい飲み物はカラダを冷やします。36度の体温を維持している人間には毒、と鍼灸師の先生に言われたことがあります。中国のレストランで「コーラ」を注文すると「冷やしたもの?常温?」と聞かれるそうです。何も聞かれなければ「常温のコーラ」が出てくるとか。体を冷やすのはカラダによくない、という東洋医学の考え方が根付いているんだなあと感心しました。

帯津 中国では消化管を冷やすことを嫌います。(中略) 消化管のことを脾臓といって冷やしちゃいかんという考え方ですね。冷やすと生命力が低下するというのです

 

【医者の結論】

冷たい飲み物はカラダによくない。ビールも冷蔵から出してすぐ飲むのではなく、少し常温にさらしておいて、冷気をとってからゆっくり飲むのがいい

常温にさらしてゆっくり飲む。ムリ。といいたいところですが、白湯をはじめて以来、冷たい飲み物を飲んだとき、喉や食道にはっきりと刺激をかんじるようになりました。有名人に、喉や食道系のがんが増えているのはもしや?と気にかかるようになりました。

冷たい飲み物はカラダにとって「刺激物」なんです。

その3牛乳を飲むのは、いいことか悪いことか

子どもの頃は「牛乳信仰」がありました。いまでもありますよね。でも、最近は風向きが変わってきているようです。元オセロの松嶋尚美さんはある番組のなかで「子どもに牛乳を飲ませない」と発言。牛乳が骨粗しょう症などの原因になる有害な飲み物という考え方が議論をまきおこしました。マクロビティックも牛乳を含めた乳製品を否定してます。一方で飲め飲めと云わる子供が多いのも現実。毎日2リットル飲んでいる早稲田実業の清宮清太郎クンは骨粗しょう症になるとはおもえません。どうなんでしょう。

帯津 牛乳がよくないという説も、体に良いという説も、ともにはっきりとした科学的根拠があるのではないと思います。(中略) おいしいカルシウムが補給されると実感する人は飲んでもいいし、イヤな味だな、、飲みたくないとおもう人は飲まなければいい

五木 そう悪玉あつかいする必要もないし過剰に効果を期待することもない、ということですね。

【医者の結論】

牛乳は無理して飲まなくてもいい。好きな人は、適量を飲んでいても問題はない。

カルシウムで背が伸びると信じている人は飲めばいい、ということですね。わたしは子どもの頃、ホットなら大丈夫でしたが冷たかったらほぼ100%お腹を下すタイプ。どうやら「乳糖不耐症」といって、乳糖を分解しにくい体質だったようです。「だった」というのは今なぜか平気なんですよね。体質が変わったんでしょうか。

その4肉はほんとうに体に悪いか

糖質制限をしていると、肉は毎日の食生活に欠かせない食材になります。ごはんやパン、麺類のかわり。ただ、体によくないイメージが頭の片隅に残るのも事実。いつも葛藤があります。

帯津 私は疲れたときに肉を食べますね。ステーキ食べると元気がでるんです。

五木 なんとなく元気が出ますよね。不思議なもので即効性があるんですよ。(中略)肉を食べないというのではなく体が欲しがるときはある程度食べて、ほかの食事の量を減らすようにしてます。

帯津 ほんとうに旨いものを食べるときの喜びは自然治癒力を爆発させます。

 

【医者の結論】

肉をやたらと食べるのではなく、ときどき、満を持して、ときめいて食べよう。

偏るのがよくない、ということ。糖質制限はタンパク質が多めにならざるをえず、隔たってしまいます。どうしましょう。出版年の時点(2007年)で糖質制限は知られていなかったのでぜひ聞いてみたいですね。

その5健康のため、一日三十品目食べなければいけないか

一日三十品目を食べよう。これは国が推奨してますよね。

五木 偏食をするのは自分の体のなかのこういうものを食べたいという、内なる声を聞いているからでしょう。本来にんげんは偏食なので体に欲するものを食べていればいいという説もありますが。

帯津 わたしもそれでいいと思うんです。 貝原益軒の食養生法は「好けるものを少し食べよ」という好きなものを奉職するな。それだと思うんですよ。(中略)偏食というのも決して悪くないと思いますね。

五木 評論家の石垣綾子さんは、ものすごく元気な方でしたけれど、朝からステーキを食べていたと書いていましたね。

【医者の結論】

一日三十品目食べなければいけないという、栄養学的な根拠はあいまい。こだわる必要はない。

 

その6酒を毎日飲むのは、ほんとうにいけないのか

お酒がやめられません。休肝日も丸二日分作らないとアルコールが抜けないといわれますが、ほぼ出来てません。いつも後ろめたさを感じながらの晩酌・・・。さてさて、どうなんでしょう。

帯津 適量なら毎日飲んでもいいと思うんですね。

五木 ほーう。

帯津 だから私は、ガンの患者さんでも、もともとお酒が好きだった人には、むしろすすめています。(中略)リラックスするというのは、いいことですね。体のなかが温まりますし、またリンパ球が増えてきたりもします。

五木 休肝日を四十八時間つくらなきゃいけないなんて、よくいわれていたけれど、それはもうあまり意味がないんですか

帯津 お酒ははカラダにいいと思っていますから。お酒は養生法の一つですから、一日たりとも休んではいけないと、こういうことなんですけれどね(笑)

五木 つづけたほうがいい。

帯津 ええ、つづけたほうがいい。

帯津先生、まちがなく酒飲みですね(笑) γーGTPが高めの患者に「オレのほうがもっと高い」といって安心させるくらいの人ですから。こんなことをいう先生、会ったことがありません。晩酌程度といっているので、ぬるいビールに焼酎2、3杯なら適量の範囲内。毎日でもOKということなります。でもこの「適量」がむずかしいんですよねえ。

【医者の結論】

酒は体にいい思っているので、欠かさず飲んでいい。ただし飲みすぎないこと。

その7メタボリック症候群は、ほんとうに危険か

現在166センチで89キロ。最高で108キロだったとはいえ、まだまだバリバリのメタボです。腹囲85センチ未満なんて無理ですよ、無理。リームー。

帯津 あれはわたし、よけいなお世話だといってるんですよ(笑)健康に関して不安をあおっているような気がしますね。

五木 絶対そうですよ

帯津 健康のハードルを上げる、あるいは健康のハードルを下げるかのどちらかでしゃないでしょううか。(中略)コレステロールの数値も250から220.220から250の人は、みんな薬の対象になってくるわけです。

五木 年を取ったらある程度、死亡に包まれているほうが元気だし、病気をしない。

帯津 (中略)健康というのは数値で著せない。

体重も痩せたからよし、ではないですよね。運動せずに痩せれば筋肉も減りリバウンドしやすくなります。さらり太るためには痩せているようなものです。

 

【医者の結論】

メタボリック症候群の基準値には、ほとんど注意を払う必要はない。メタボリック症候群なんてお節介が過ぎるのではないか。

これを医者がいうから面白い。だまだこうした気になる身近なQ&Aが分かりやすく書かれています。杓子定規な医者が多いなかで、うんうんと頷いたりこれはマネしなくてもいいかなと思うこともあったり。なかでも感銘を受けたのが「体に傷がついていないのが健康というわけではない」という言葉。数値が基準内だから健康、オーバーしたら不健康なんてバカバカしいということ。水の飲みすぎが体に悪いなんて知らない人も多いのではないでしょうか。「毎日水2リットル」を「これ一つ」と信じるまえに、自分の体と向き合ってみる。無理していないか、自分の体に問いかけてみることが大切なのです。「〇〇だけ」は疑ってかかることをおすすめします。

ほんの触りだけでしたがいかがでしたか? プレゼントにも最適なシニアにも読みやすい良書だとおもいます。ただ絶版で在庫のみのようなのでお早めに。今後、電子書籍がでることを期待したいところです。

 

【書いている人:編集部みっちー】

パート2も出ていました。

 

 

 









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