ん?なんだ、この違和感。ふと立ち止まり、周りをぐるりと見渡した。
これは・・・。
時が止まったような佇まい。笹塚・観音通り商店街にある「常盤食堂」だ。
入り口の横には食品サンプル。
サランラップがかぶせてある。なんか、いい。その向こうは、曇りガラス。店内の様子をうかがい知ることができない。手がかりは食品サンプルとこれ
店の前を通るたびに気にしつつ、尻込みすること2か月。勇気を出して暖簾をくぐってみた。
入店前のシミュレーション
暖簾をくぐる数分前の妄想シミュレーション。食堂なのに古さゆえ敷居が高く勇気がいるように感じられたからだ。
・午後1時前、暖簾をくぐり引き戸を開ける。
・常連客に一瞥される。
・ここは臆さず声をかけられるのを待つ。
「いらっしゃいませっ」配膳しながらお嫁さんの元気な声が響く。
・お店を切り盛りしているのは、おじいちゃんとおばあちゃん、そして、息子さんとそのお嫁さんだ。
・以前おじゃました東上野の百年食堂「田中食堂」と似た雰囲気。
・席は空いているが、お膳は残っている。
・カウンターはない。
・すべてテーブル席。長テーブルが1つと4人席が4卓ほど。
・「こちらへどうぞ」
・長テーブルの一角に腰を落ち着け、壁に貼られた手書きのメニューを見る。
・アジフライ定食にハムエッグと納豆もつけてもらおうか。
・「はい、なんにしましょ」。
・水を置いたのはおばあちゃん、お店のおかみさんだ。
「とりあえず、瓶ビール」
すぐに運ばれてきたビールをコープに注いで、ひと心地。
で、どうだ。
想像と期待を裏切らない
では、ほんとうに暖簾をくぐってみよう。
「いらっしゃませ!こちらのテーブルへどうぞ」
配膳をしながら声をかけてくれたのは、おばあちゃん。調理場にはおじいちゃん。どうやら二人だけで切り盛りしているようだ。店内にはサラリーマン風の男性客4人組とひとり客が2人。常連客に一瞥されることもなく、あっさり4人席のテーブルに着席。4人掛けのテーブル席が6卓に、小上がりの座敷。詰めれば10人くらいは座れそうな感じ。割と大きめのテレビには、NHK「あさが来た」が流れている。
ある程度までは想像通り。しかし、これほどとは。外観とおなじ違和感を店内でも…。
50年、時が止まっている。
そんな感じがした。
日替わりのサービス定食
結局、日替わり定食を頼むことにした。チラッと日替わり定食用のサバ塩焼きが残っているのを見てしまったからだ。
本日のサービス定食730円。ご飯少なめ。
メインメニューのサバの塩焼き。これがサンマの開きになったり、チキンカツになったりするようだ。
味を追求するのは野暮というもの。こちらのサイトによると、創業は大正7年、1918年とのこと。
創業が1918年(大正7年)で、当時「カフェー」と呼ばれた洋食食堂からはじまり、戦中戦後の「外食券食堂」「民生食堂」の時代をへて、今日にいたる。常盤食堂という名前はたくさんあるが、ここは初代の出身地からとった。
(出典:ザ・大衆食)
ということは、来年ついにメモリアルイヤー100年を迎える。名実ともに、百年食堂の仲間入りである。改装したのは1965年。それから内装はほぼ変わっていないという。なるほど。時が止まっている気がしたのはまんざら間違ってもいなかったようだ。
半世紀、時が止まっているお店「常盤食堂」。店主は今年77歳。後継者はいないそうだ。いつまでもお元気でお店を続けていただきたいとおもう。今度は瓶ビールを頼んでハムエッグをつまみながら一杯やろう。そうそう、女子1人で飲んでいても様になるだろうなあ。
・おじゃましたお店
住所 東京都渋谷区笹塚1-21-10
営業時間<平日>
ランチ:10:00~15:00
ディナー:16:30~21:30
定休日 土曜日
(日々つむ編集部みっちー)