ドラえもんの声で知られ、数年前に認知症を公表した大山のぶ代さんが老人ホームに入所した。夫の砂川啓介さんが明かした。
俳優の砂川(さがわ)啓介さん(79)が、認知症の妻、大山のぶ代さん(82)の介護について語る講演会(認知症の人と家族の会、朝日新聞厚生文化事業団など主催)が5日、大阪市内で開かれ、約200人が訪れた。砂川さんは自身が尿管がんと診断され、その治療を機に大山さんが老人ホームに入所したことを初めて明らかにした。
(出典:朝日新聞)
自身の病気を機に、入所させる決断をしたとのこと。認知症を診断されてから、いわゆる老老介護を続けてきた砂川さん。大きな決断だったとおもう。
老人ホームにいる大山さんの様子は
砂川さんは老人ホームの大山さんの様子について語っている。
「お友達もできて元気にやっています」と報告。「試練ですが、まずは僕自身のがんを治さないといけない」。この日は体調をおして大阪での講演に臨んだが、大山さんがどうしているかと思うと涙が出るといい、「これが愛なのかな」と話した。
(出典:朝日新聞)
「お友達もできて元気にやっています」の言葉に少しホッとさせられる。
あの笑顔、あのダミ声が浮かんできた。
ただ砂川さんが「試練」と言っているのが気にかかる。夫婦が命を繋げていくためにはやむをえないこと。共倒れになっては意味がない。心に重石を抱えるなく治療に専念してもらいたい。
老々介護の現実
75歳以上の老老介護はすでに全体の25%を超えているという。
同居する介護者と要介護者の年齢割合を見ると、六十歳以上同士、六十五歳以上同士、七十五歳以上同士とも上昇傾向にあります。特に要介護の認定を受ける割合が高まる七十五歳以上同士が25%を超えるなど、深刻な状況です。
(出典:東京新聞)
また、経済面、体力面などで負担を強いられる現実もある。
介護の費用負担の意識調査では、年金収入で賄うと考えている人が最も多くなっています。しかし、今後、年金財政が厳しくなるなか、年金だけで賄えるのか不安な面もあります。
同居の介護時間を見ると、「ほとんど終日」が要介護3以上から30%を超え、要介護5では50%にも達しています。「半日程度」も含めると、要介護3から50%を超え、負担の重さを示しています。
また、ほとんど終日と答えた介護者の70%は女性でした。老老介護では、主に女性が介護していることもあり、介護者の体力面、精神面の問題なども指摘されています。
体力の衰えた高齢の介護者では、介護による肉体的負担で新たな病気になることがあります。大半の時間を介護に割くことでストレスも大きくなり、「介護疲れ」によるさまざまな問題が表面化しています。また、介護者の死亡による「孤立死」が問題になっています。
(出典:東京新聞
これは誰にでも起こりうること。また、一人で複数の介護をする多重介護も増えているという。
なかなか仕事が続けられなくなってしまって、仕事を辞めてしまって、親御さんと向き合って、非常にだんだんだんだん追い詰められていってしまう。
経済的にもつらくなって、そして社会的にも心理的にも孤立をして、自分の体をも壊してしまっている。
なかなか外には出てきていないのですが、そういった介護者が増えているという実感を持っています。
(出典:NHKクローズアップ現代)
これは大山のぶ代さんと砂川さんだけではなく、誰にも起こりうる現実なのだ。
愛犬の飼い主の老々介護も深刻
そして、老々介護はぺットにも。
ある夜いきなり夜鳴きがはじまった。
叱っても、口を押さえても止まらない。いたたまれず抱き上げ、外へ飛び出した。
「うるさいぞ! 何時だと思っているんだ」――怒声を浴びながら、深夜の街を歩き回る。吠えるのが止んだのは、空が白み始める頃。眠たいし、足腰もくたくた。高齢のチエコさんにとっては、文字通り寿命が縮まる一夜となった。早速、いつも予防注射をしてもらう獣医師に相談すると「認知症だね」と精神安定剤を渡された。昼夜の逆転が起きているのかもしれないとのことで、たくさん散歩もさせた。だがダメだった。マンション中の人から責められているような気がして、チコエさんはたちまち追い詰められた。
愛犬と一緒に死ぬしかない
悩んだ揚げ句の選択だった「保健所に引き取ってもらうしかないのか、とも思いましたが、そんな可哀そうなことできないでしょ。なら、一緒に死ぬしかないのかなと」
・・・・・高齢化社会の進行を背景に、高齢者が高齢のペットを介護する「老老介護」も増えている。
ペットの飼育は、老化予防に役立つし、子どもが巣立った後の親世帯にとってこの上ない癒しとなるが、心配なのは、飼い主が病気や老いで亡くなってしまった場合だ。
「犬を飼っていたけれど、数年前に看取った。今70代なので、最期まで責任を持って飼い続ける自信がないから、もう犬は飼えない」
(出典:ダイヤモンドオンライン「愛犬と一緒に死ぬしかない!“ペット老老介護”問題の深刻」)
神奈川の動物愛護センターでは、65歳以上の人には犬猫の譲渡をしていないという。犬の寿命がのびる一方で、認知症などの病気もまた増え続けている現実。夜中、愛犬が鳴き続けるようになったら、どんな選択をするだろう。
飼い主として、折に触れ考えておくべきではないだろうか。
(日々つむ編集部)
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