小池百合子知事が14日の定例会見を行い、20年東京五輪のボート・カヌー会場問題で候補にあがっていた埼玉県の彩湖案がすでに選択肢に含まれていないことを明かした。埼玉県の上田清司知事が辞退の報告を受けていたというのだ。
東京都の小池百合子知事が14日、定例会見を行い、20年東京五輪のボート・カヌー会場問題で、埼玉県の彩湖案において同県の上田清司知事から辞退の報告を受けていたことを明かした。
先月29日、都政改革本部が公開した調査報告書には宮城県の長沼ボート場以外に、彩湖、岐阜県の長良川も挙がっていた。
上田知事から「埼玉は主要な競技がやって来るので十分です」との報告を受けたという。
埼玉県はバスケットボールやサッカー、ゴルフなどが開催される予定。小池氏は「埼玉県から熱い要請があるとはいまだに聞いていない。地元の要望も大変重要なのでは」と語った。
(出典:日刊スポーツ)
ところが、埼玉県の上田知事は電話や会って話したこともないと小池知事の発言を否定。さらに、東京五輪大会組織委員会も「不透明だ」とする異例の文書を発表した。
小池氏は14日の会見で、「埼玉県の上田知事からは、埼玉には主要な競技が来るので、十分ですという話をいただいた」と述べ、埼玉側が辞退していたことを示唆。「埼玉から熱い要請はいただいていない。先方に意欲があって初めて成り立つ話」とも主張した。
登米市の長沼ボート場を要望する宮城県の村井嘉浩知事から話を聞いたことも認めたが、調査報告書が出る前に各県知事とやりとりした真意を問われ「いろんな知事がごあいさつに来られる。おかしいことには当たらない」と反論した。
しかし組織委は「復興五輪が大切、宮城・長沼だと発言しながら、実は上田県知事に事前に打診していた」「報告書を受けただけで、最終決定していないと言いながら、水面下で他県知事とだけ話し合うのは極めて不透明なやり方ではないか」と指摘。森喜朗会長が上田氏に電話すると、小池氏と「電話で話したことも会って話したこともない」と述べたとも主張。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と会談する18日までに、混乱を収拾するよう小池氏に求めた。
(出典:日刊スポーツ)
【記者】読売新聞の越村です。よろしくお願いします。今の五輪の関係で伺いたいのですけれども、先日、村井知事さんが都庁にいらっしゃったと思うのですけど、その前に組織委員会にも行っていまして、そのときの会議後の囲みの中で、村井さんが9月に報告書の発表の前に、上山さんと小池知事と都庁で会談したと。そこで、いわゆる長沼案というのを、その場でもう既に提示というか、したということをおっしゃっていたのですけれども、その9月13日の会談はどういった経緯で実現して、どのようなことを話されたのかというのをちょっと伺いたいんですけども。
【知事】事実としてお会いしました。そして、その流れは、基本的に上山調査チームの統括が様々な課題といいましょうか、様々な選択肢の中に長沼があるということで、直接、宮城の知事からのお話を聞いてみようということでお会いしたということでございます。
宮城としても、やはり「復興五輪」ということ、これがそもそもではなかったかということと、それから、「復興」という言葉が、もう最近、その言葉さえ忘れ去られているのではないだろうかといったようなニュアンスの話もございましたし、私も「復興五輪」という言葉が、今はむしろコストの削減だけに話がいってしまっているという部分もございます。ですから、そういう意味では、これは世界に向けての復興ということは、今、世界中、自然災害で様々な事態が起こっていて、そこは助け合って、お互いサポートし合ってということがございますので、そういった意味でも、メッセージには十分なり得るのではないかということでございます。
そういった意味で、知事自身が、非常に意欲があるということでございますし、また、これによってどういうことができるか。先方が、その気が全くなくて、押し付けるなんていうこともおかしな話でございますし、先方も意欲があってということで初めて選択肢になり得るのではないかと、その会談を通じても思ったところでございます。【記者】すみません。今の、ちょっと追加なのですけれども、調査報告書の中には、移転案として、長沼以外に、例えば、長良川ですとか彩湖も名前が挙がっていたと思うのですけれども、その、いわゆる上田知事とか古田知事にはアプローチというか、お話というのはされてはいないのでしょうか。
【知事】上田知事からは、埼玉は、主要な競技がもう既に会場として埼玉にやってくることになっているので十分ですというお話をいただいております。
【記者】すみません。最後に、調査報告書が出る前に、そうして移転案として名前が挙がりそうなところの知事さんと知事ご本人がやりとりするというところは、知事ご自身はどうお考えでしょうか。
【知事】いろいろな方、知事がお見えになっています。まさしく古田知事もお見えになっております、岐阜の。これは表敬というか、以前、通商産業省時代からの友人ということもあって、いろいろな知事が、いろいろなご挨拶に来られますので、ここで知事が前に会うというのがおかしいということには当たらないと思います。
(出典:東京都)
小池都知事が、他県知事と、都政改革本部の報告書が出る前に競技会場について協議をしていたとされる件につき、組織委員会の見解は以下の通りです。
組織委員会は、全く知らない。
復興五輪が大切で、だから宮城・長沼だと発言しながら、本日の会見の小池都知事の発言によれば、実は、上田埼玉県知事に事前に打診していたということである。
都知事は、アスリートファーストと言いながら、事前にIF(国際競技連盟)、NF(競技団体)に意見を聞いていない。また、「報告書を受けただけで、最終決定していない」と言いながら、水面下で他県知事とだけ話し合うのは、極めて不透明なやり方ではないか。
さらに分からないのは、森会長が、上田埼玉県知事と電話で話し聞いたところによると、上田埼玉県知事は、都知事と電話で話したことも、会って話したこともない、とのことだ。
来週、IOCのバッハ会長が来日されるが、それまでには、都知事には、こうした、混乱した事態を収拾していただきたいと思っている。
小池都知事が、(宮城県の)長沼をボート会場にしたいという希望を持っているとされる件につき、組織委員会の見解は以下の通りです。
会場変更について、従来は、開催都市である東京都と組織委員会の間で合意した上で、国内の関係者と調整を図り、調整会議等で合意形成を図った上で、IOC、IFと協議を行ってきた。
今回、東京都知事が独自のご判断で会場変更をご主張されるのであれば、まずは都知事が自ら政府・JOC・JPC・NF等の国内関係者と調整を行い、調整会議で合意を形成する必要がある。
合意が形成されれば、組織委としても東京都とともにIF等の対外的な調整を行うこととなる。
リオ五輪カヌーで銅メダルを獲得した羽根田卓也(29=ミキハウス)が12日、20年東京五輪カヌー競技の宮城での実施に“反発”した。
スポーツ庁の鈴木大地長官を表敬訪問後、「僕の種目が東京以外で行われれば本当に寂しくて絶対に嫌だと思う。4年後を楽しみにしている選手にとって、こういう問題で揺れることはよくない」と話した。羽根田のスラローム競技は?西臨海公園で実施される予定だが、スプリントとボート競技の予定地「海の森水上競技場」は東京都の調査チームが費用高騰を理由に建設中止を提言。宮城県登米市の長沼ボート場での実施も取りざたされている。一方、同県の村井嘉浩知事はこの日、東京都庁で小池百合子知事に長沼ボート場での開催を要望。海の森水上競技場より「相当安くできる自信がある」と述べた。
(出典:スポーツニッポン)
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都立葛西臨海公園の隣接都有地に新しく整備される施設です。 水路に人工的に流れを作り出し、競技を実施することができる国内で初めてのカヌー・スラロームコースです。 このカヌー・スラローム会場を利用して、ラフティングも楽しめる、周辺の公園や水域と一体となったレジャー・レクリエーション施設としていきます。
(出典:東京五輪公式サイト)
(東京五輪準備サイトのスクリーンショット)
東京港中央防波堤内側及び外側埋立地間の水路に新しく整備される施設です。 この場所は、豊かな緑で覆われた埋立地で、東京湾のすばらしい眺めとドラマチックな都市景観を一度に楽しむことができます。 国際大会が開催できるボート・カヌーの競技場及び育成・強化の拠点とするほか、多面的な水面利用を図り、都民のレクリエーションの場、憩いの場としていきます。
(東京五輪準備サイトより)
東京・海の森水上競技場
・海水
・選手村から7キロ
・車移動15分
・整備費用520億円
宮城・長沼ボート場
・淡水
・東京から360キロ
・新幹線や車で2時間30分
・仮設住宅に選手村を作る予定(5キロはなれている)
・整備費用315億円
海の森水上競技場の見直しの候補地として有力視されているのが、宮城県の長沼ボート場。東京から350キロ以上離れていて、選手村からの距離が課題となっています。そこで宮城県が提案したのが、来年6月閉鎖予定の仮設住宅を改修し、選手村として再利用するというものです。現地ではすでに改修工事が進められています。改修費は1戸当たりおよそ500万円だということです。
長沼ボート場への会場変更が決まった場合、県はこの住宅団地を再利用して選手村とする案を掲げる。仕切りの壁を外し、2戸分を一つにして2LDK、約60平方メートルの部屋を整備する方針だ。
県震災援護室の担当者は「選手、監督合わせて約1300人が選手村に入る見込み。1戸を2、3人で使うとみて、市外の仮設住宅から運んでくる分を含めて約600戸を整備したい」と話す。東京五輪後は長沼ボート場で合宿する選手らの宿泊施設として使うことを見込む。
(出典:河北新報)
そして15日、小池知事は長沼ボート場を視察。
長沼ボート場のほか、選手村への転用が検討されている仮設住宅も視察した小池氏は「被災地の仮設住宅が五輪・パラリンピック用によみがえるのは、復興五輪という大きなメッセージになる。今回の視察をベースに会場を検討していきたい」と、かなり前向きな反応を示した。
(出典:サンケイスポーツ)
小池知事が海の森や彩湖案を一蹴し「長沼」を最優先にする理由まとめ
以前から長沼案で決めていたフシがあるボート・カヌー会場をめぐる問題。政治的な思惑で決まったり、決定までのプロセスがブラックボックス化したりしないことを願わずにはいられない。
(日々つむ編集部)