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心に響く…日野原重明さん104歳と対話した篠田桃紅さん103歳の言葉に参りました

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その番組が心に響いて気持ちが軽くなった。4月2日(2016年)にアンコール放送されたEテレのSWITCH「達人達」です。日野原重明さんと篠田桃紅さんの1対1の対談。104歳と103歳、「奇跡の顔合わせ」とサイドテロップにあった通り、実に興味深い話を聞くことができた。そのいくつかの言葉をぜひ紹介したい。なお、意味をくみ取りつつ、言葉は一部改変しているのでご了承いただきたい。

心に刺さる篠田桃紅さんの言葉

篠田桃紅さん、読み方は「しのだとうこう」。大正2年(1913)生まれ。ちなみに、第一次世界大戦は始まったのは1歳のとき。現在103歳。現役の美術家として日々創作を続けている。筆を握ることは箸で食べることよりも身についている、という桃紅さんが日野原さんに語った言葉に耳を傾けよう。まずは創作について。

創作への思い

・「描いていることが生きていることと同じ」

・「自分は思い上がりだと思う。もっといいものが描けるはずと思っている。だからできたものが気に入らない。自分を買いかぶっているんですよ」

・「謙虚な気持ちがない。もっといいものができると思っている」

・「103歳になってこういうことが分かりました、なんて何もありませんよ!」

・「惰性で筆を持って何かを描いている」

・「アートは人間社会の中で普遍性がある」

・「描くことは楽しみでも義務でもない。自然ななりゆきに自分が乗っている」

桃紅さんが女ひとり世界で飛び出したのは1950年代、43歳の頃だった。86歳のインタビューでは創作の原点をこう語っている。

・「窮屈になってきた、決まりが。3本でやめなくてはいけない『川』は。無数の線を引きたいという衝動

103歳の日常

・「若い時から何かを楽しみにしているということはない

・「外部にあまり期待しない

58歳の時よど号ハイジャック事件の人質になった日野原先生。その時の経験をふまえ「私のはこれから誰かに捧げるためにある」「人へのサービスのために僕があるとわかった」「生かされていることの感謝」と考え方が変わっていったという。これを受けて桃紅さんは「先生は感謝をなさるのね」と言って少し考えた後・・・。

・「私はそういう謙虚さがない。感謝という気持ちが少ない

助けてもらった、何かをしてもらった時の感謝ではなく、ただ生きているということ、天地万物の見えない何か、神様がいるとすれば神様にただ感謝する。そういうことはあまりないという。

・「自然物だからただ自然に生きているんだと」

「(桃紅さんは)あるがまま」と返した日野原先生。さらに言葉の表現は違うが共通するものがある」というと・・。

・「ないですよっ共通点なんて。月とスッポンですよ」

・「先生は万人の師表(手本となる人)稀有な存在」

すかさず全否定!指標ではなく「師表」、おぼえたぞ。このあと桃紅さんは畳み掛けるように日野原先生を褒め倒していく。「長く生きてお手本を示して周りの病人を力づけて治してあげている」といったあと。

・「神に近いわね、存在が」

「いやいやそれは言い過ぎ」と照れまくる日野原先生。しかし桃紅さんは・・・。

「人を超えてる」

真剣な桃紅さんと照れ笑いの日野原先生。完全に桃紅さんペースだ。

103歳になってわかったこと

このあと50万部のベストセラーになっている桃紅さんの著書からの言葉が紹介される。

一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い
・日々、違う 
 生きていることに、
 同じことの繰り返しはない

・誰が式、誰か風、ではなく、
 その人にしかできない、
 生き方を自然体という。

・「百歳を過ぎると、人は次第に「無」に近づいていると感じます。その一つに、私は作品を描き始めると、一切、何も思わなくなりました。作品と私の間には筆があるだけで、ただ描いているだけです。(中略)人は老いて、日常が『無』の境地にも至り、やがて、ほんとうの『無』を迎える。それが死である。そう感じるようになりました。」  

(引用:「百歳になってわかったこと」より)

これが103歳になってわかったこと。死生観とも言うのだろうか。無に近づいていく、そう綴る一方でこんなことも。

・自由とはらにること

らにれば、

 人生は最後まで

 自分のものにできる

茨城のり子さんの詩「倚りかからず」を思い出した。「もはや/いかなる権威にも倚りかかりたくはない/ながく生きて/心底学んだのはそれぐらい/じぶんの耳目/じぶんの二本足のみで立っていて/なに不都合のことやある/倚りかかるとすれば/それは/椅子の背もたれだけ」(一部抜粋)。さらに桃紅さんが103歳になってわかったこと・・・。

・「生きている限り人間は未完成

・「103歳になってこれがわかりましたなんて何もありませんよ」

・「昨日と今日が続いているだけ。ずっと

・「本当に大人げない。無駄に年をとった。何事にもまずい。下手

じぶんを大人げないという103歳。わかったことがない、ということがわかったこと。謙虚さがないという謙虚さ。このあと番組はこんな大人げない質問をする。

何歳まで生きたい?

何歳まで生きたいですか?という質問に104歳と103歳はどう答えるのか。日野原先生はあるものを引っ張り出してきた。それを見た桃紅さんは一言。

・「はあ〜、あきれた

それは10年日記。2013年から2022年まで書き込めるもの。

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(画像引用:達人達より)

色もタイプも同じもの。日野原先生の10年日記には、2022年、111歳の誕生日まで書き込まれていた。都知事はすぐ2020年の聖火ランナーのオファーをするべき。うかうかしてるとスケジュール埋まってしまうぞ。2022年までスケジュールが決まってらっしゃるの!?と驚いた桃紅さんに「だから死ぬわけにいかない」という日野原先生。すると。

・「先生は永遠に生きる方だ」

神に近いのだからそうかもしれない。人間の寿命はまだまだ延びるんでしょうか?と尋ねる桃紅さん。日野原先生は「まだ延びます。自分には使命があることを自覚して日々生きていると、それが生きがいになってくる」という。すると。

・「(わたしは)日記は一切書かない。その日暮らし。その日その日のにまかせて生きている」

どちらも長寿だけれど180度違う生き方。否定しているわけではない。どちらがいいというわけでもない。違うのがおもしろい。

・「独り者だからできる」

・「わたしは独り、究極。今日やりたくなければやらなきゃいい

大勢の中でやっているとそうはいかないという桃紅さん。一生独身を貫いてきた。それぞれ身を置く場所で生き方も変わってくる。まさに、その人しかできない生き方。何もしたくなければ1週間ボケ〜とすることあると言った後…。

・「よくいえば自由。悪くいえば自堕落

予定を決める104歳と予定を決めない103歳。今回の対談が実現したことを受けて桃紅さんはこんな質問をする。

・「仏教では『』といいますね。キリスト教では何というんでしょう?」

すると、日野原先生は「縁とは『絆』ですよ。出会う瞬間、瞬間が本当の生き方。瞬間の中に、生き方のエッセンスがある」とこれまた深い切り返し。世の中、縁。円(お金)ではないのだ。

長生きの秘訣は?

突然ですが問題。長生きの秘訣を聞かれてこう答えたのはだーれだ。

・「秘訣なんてないですよ」

ここまでくればおわかりだろう。桃紅さんは秘訣はないと即答。「早起きすることだとかナニナニしないことだとかよく秘訣って言いますけど」と質問者の意図をくみ取った上で・・・。

・「わたしはそういうもの何もない。普通にやってる」

一方、日野原さんの長生きの秘訣は「3つのv」。

  1. 第一のVはビジョン(vision)
  2. 第二のVはベンチャー(venture)(冒険)
  3. 第三のVはビクトリー(victory)(勝利)

さすが日野原先生、キャッチーなおこたえ。ビジョンを立ててそれに向かって全力投球すること。そうすれば(長生きは)自然に与えられるという。生きがいを感じて何かをやってみる。それは趣味でも何でもいい。年を重ねると、できることが限られると感じることが多くなる。しかしまだできることがある、見つける喜びもある。ビジョンが生まれたら、身を置く場所の景色も変わってくるものだ。日野原先生の言葉を噛み締めた桃紅さん、おそらく自分の体験を踏まえてこう切り出した。

・「先輩に聞くことはナンセンス

どういうことだろう。

・「その人は作った。あなたも作らなきゃ駄目」

まだわからない。どういうことだろう。

・「先輩はみんな自分で考えて一人で作ってきた」

・「ディテール(細かいこと)の一つや二つ教えられることはある。でも本筋は自分で生み出している。生き方も。

誰かに言われたからするのではなく自分の頭に問いかけてやってみる。自分がやってみたいかどうか。生きがいを感じるかどうか。

長い人生で後悔したことは?

・「ありません。長く生きててよかったと思うことの方が。だから長生きできるんですよ。長く生きていることを受け入れているから長く生きている」

桃紅さん、即答です。日野原先生は「あるがままに受け入れている」と評した。「あるがまま」、2回目。桃紅さんのように「あるがまま」に生きている人、どれだけいるんだろう。

生老病死

お釈迦様がいった言葉「生・老・病・死(しょうろうびょうし)いずれか苦にあらざるべし」。生・老・病・死はどれも苦しいこと。その4つの難題とどう向き合うか。みんな考えなくてはならないという日野原先生。すると桃紅さんは。

・「仏教もキリスト教も人がどう生きるかということに尽きる」

・「人間というのはどういう風に生まれて、どういう風に生きて、どういう風にして病気になったり、死んだり。そういう人間の一生は決まりがない

・「生涯に出会った人のことを考えても一人として同じ人はいません

・「結局人は孤独。その人は一人」

・「『孤』と『独』、昔の人もどっちとも決められない。そういう迷いのカタチが文化」

・「人間の迷いのカタチが文化」

・「文化というのは全部迷いだとこの年になって思う」

・「迷いです。一生」

・「迷路に入っている。人間は死ぬまで」

・「迷いと『おのずと何とかなっていくだろう』楽天的な考え方といつもやりあってる」

そうか。死ぬまで人は迷いながら生きていくんだなあ。迷うことにもう迷わないぞ。

街の悩み「目標がない」

街の人の悩みに答えるコーナー。「明確な目標がない」「やりたいことがない」という若者の悩みに桃紅さんは。

・「つまり、この世に魅力がないってことね。何にも心ひかれるものがない。若い人が生きる希望があまりないということ」

と若者の気持ちに寄り添った上でこう続けた。

・「若い人の先輩つまりわれわれ年を取った人たちがあんまり楽しそうではないからですねきっと。私たちが生き生きをやっていれば『ああいうのがいいな』と言えちゃう。私たちがよくない、いいと思えてないんですよ。老いたる人のやってることが、若い人には憧れたくない、憧れられない。だからわれわれの責任かもよ。老いたる人の責任かも」

すごいよ桃紅さん。これ言えちゃうのがすごい。

街の悩み「人生の後半戦をどう生きる?」

4、50代の悩み「仕事に復帰したい」「趣味を持てるか」「子供が巣立った後主人と二人で生きていけるか」といった声に桃紅さんは。

・「(子育ては)私の経験にはないことだし、こういうやり方があるでしょうとは簡単には申し上げられませんよね。よく言えば独立心がある、悪くいえばわがままなんです。だから自分がやりたいようにやってきましたよ」
一方、日野原先生は「子育てが終わった人は社会の中に踏み込んでいかないと。自分で求めて。そうすると『出会い』、英語でエンカウンター(encounter)は人間の一生を変える。自分でチャンスを求めないと。消極的が考えでは解決法はないと思いますからね」

街の悩み「老いや死への不安」

60代以上の悩み「漠然とした不安」「死を意識する」と言った声にまず日野原先生は「人生はいくら努力しても寿命はみんなにある。その寿命をアクセプト(accept)する、受け入れること、生きることを許される限り、自分がどう生きがいを持って与えられた命を終えるか」と答えた。桃紅さんは日野原先生を前にしてこう答えた。
・わたし30歳のとき肺結核になったんですよ。長生きできないとあきらめた。それが今まで生きている。先生の前で申し訳ないけど、人の寿命なんて、医学なんてものだけではわかりません」

・「に向きあうことはどんな偉い人だってちゃんと用意ができて『いつ死んでも大丈夫』なんて方はいない

 

犬と日野原さん

日野原さんはこんな本を出しています。

犬たちの勇気といのちから学ぶ幸せの意味

もうすぐ102歳を迎える日野原重明先生が子どもたちをはじめ次世代に伝えたいと語りかけるように書き下ろした、初めての「犬と人といのち」のものがたり。
保護犬や老犬、被災した動物のいのちの重み。盲導犬や犬ぞり犬など実在する犬と人との深い絆。ホスピスや小児病棟でのセラピードッグと患者さんとの静かな触れ合い。そして愛犬との別れがもたらす希望の力・・・10のエピソードには、日野原流「いのちの名言」と共に、犬たちの勇気といのちから学ぶ幸せの意味が込められています。
愛おしさあふれるまなざしの犬の写真やカラーイラストがちりばめられ、親子や祖父母と孫が一緒に読んで考え、楽しめるカラーエッセイ本です。

(Amazonの内容より)

さいごに

いかがだっただろうか。言葉のトーンや空気感など文字だけでは伝えられないニュアンスがありどこまで表現できたか不安だ。だが篠田桃紅さんの魅力を少しは伝えられたとおもう。こんな生き方に憧れる。年の重ねかたも参考になった。世代によっても刺さるポイントは違うだろうが、わたしは若者の悩みに答えたくだりが心に響いた。

自らに由って、もっと楽しまなくちゃ。

(日々つむ編集部)









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